私立星峰学園。
ここは、乙女たちの園――。
引用:『みのりと100人のお嬢様』第1話(「まんがくらぶ」2017年3月号)
(この世から)ごきげんよう。
「まんがくらぶ」で連載中の『みのりと100人のお嬢様』は、お嬢様学校に通うことになった平凡な女子高生の日常を描いた作品。単行本1巻が、3月7日に発売されます。
上記のリード文は完全に『マリア様がみてる』のオマージュですが、もちろん内容は別物。
作者が藤沢カミヤさんと聞いて、ピンときた方はするどい。なかなかパンチの効いたギャグ4コマになっています。
普通であるということは、何でもできるということ
見た目も性格も普通の女の子・佐倉みのりは、お嬢様への憧れが強すぎるあまり、ついに星峰学園への入学を果たします。
夢にまで見たお嬢様学校での生活。喜ぶと同時に、浮いていないだろうか、お嬢様たちと友達になれるだろうかと心配になるみのり。
しかし、むしろお嬢様たちの方がみのりに興味津々。一番仲良しなのは自分だとみのりを奪い合い、さながら百合ハーレム状態に。
とはいえ、彼女たちの感情はあくまで「みのりと友達になりたい」くらいのほほえましいものです。それ以上の関係を望んでいるキャラクターはいません。
みのりの幼馴染、大澤まほを除いては……。
引用:『みのりと100人のお嬢様』第1話(「まんがくらぶ」2017年3月号)
中学から星峰学園に通っている大澤まほ。この子はたぶんガチ。
なぜ庶民のみのりが、お嬢様たちに好かれるのか?
別に、すごい家柄の出身だと誤解されていたり、能力を過大評価されたりしているわけではありません。
むしろ、学校でのみのりは庶民丸出しです。カフェテリアのメニューの充実ぶりにはしゃいだり、お嬢様らしい生活に浸りすぎると発作を起こしたり。
そんな飾らない素朴さ、素直さが、お嬢様たちの心を揺さぶるのではないでしょうか。
引用:『みのりと100人のお嬢様』第3話(「まんがくらぶ」2017年5月号)
みのりの純真さは、お嬢様たちを魅了する。
星峰学園のお嬢様たちは、見た目も性格もかなり個性的です。
お人形のように愛くるしい子から、いつも女の子に囲まれているイケメン女子まで。中には、ひと昔前のスケバン風の生徒もいます。「お嬢様」の定義って何だったっけ?
彼女たちは何かに秀でているぶん、「普通のこと」ができません。運動は得意でもドッジボールをしたことがなかったり、お菓子は作れても他の料理はダメダメだったり。
反対に、みのりは突出したものがない代わりに、何でもそれなりにそつなくこなします。
これが意外と難しい。調理実習のエピソードで、レシピ通りに作ったことを褒められていましたが、本当に下手な人って余計なアレンジをしようとしますからね……。
人は、自分が持っていないものを持っている人に憧れる。みのりにとってお嬢様たちがそうであるように、お嬢様たちにとってもみのりは憧れの対象なのです。
お嬢様100人出てくるかな?
小学生並に小さい、クラスのマスコット的存在の加納ゆいこ。入学式の日にみのりに親切にされて以来、すっかり彼女のファンになってしまいました。
無意識にキザなセリフを言ってしまう、王子系女子の御園たまき。みのりは覚えていませんが、子供のころ彼女に会ったことがあるそうです。
この2人に、みのりとまほを加えた4人が本作のメインキャラクターです。
しかし、もう一度タイトルを確認してみてください。残り96人のお嬢様は一体どこに……いや、「みのり“と”100人の」だから、97人でしょうか。
引用:『みのりと100人のお嬢様』第11話(「まんがくらぶ」2018年1月号)
特にストーリーに関わるわけではないモブお嬢様たちも、名前はしっかり紹介される。
この作品では、モブキャラのクラスメイトたちが登場する際、テロップでフルネームが表示されます。
『スロウスタート』『大家さんは思春期!』など、クラスメイト全員の設定が用意されている作品は他にもありますが、作中できちんと紹介されるのは珍しいのではないでしょうか。
また、「ワイド4コマ」の形式を取っているのも特徴のひとつ。
従来の4コマよりも横長なので、複数のキャラを描いてもコマが窮屈にならない。登場人物が多いこの作品にはうってつけなのです。
時には1ページマンガのような柔軟なコマ割りもでき、特にクラスメイトたちの初登場時にそうした手法が見受けられます。
引用:『みのりと100人のお嬢様』第12話(「まんがくらぶ」2018年2月号)
※この子もお嬢様です。
名前が明らかになっているお嬢様は、1巻に収録されると思われる13話時点でおよそ23人。
最近ペースが上がってきているものの、本当に100人登場させるためには少なくとも4巻まで連載を続ける必要があります。
長い道のりですが、前作の『なぎさ食堂』が3巻続いたのを考えれば不可能な数字ではないでしょう。ぜひ期待したいと思います。