アニメ

【ネタバレ注意】『ブレンド・S』12話、および作品全体の感想

blend-s.jp

第12話「大好きですっ!」
脚本:雑破 業 絵コンテ:益山亮司 演出:益山亮司・松本顕吾・河合滋樹
作画監督:佐々木貴宏・猪口美緒・油谷陽介・前田学史・福世真奈美・波部 崇・本多みゆき・杉生祐一・本村晃一・稲田正輝

スキー旅行に来た、おなじみスティーレのメンバー。
そこでディーノはついに苺香に告白しようと決意する。
だがそんなディーノを、風呂上がりの苺香が突然呼び止め、急展開に!
果たしてこれは、苺香の逆告白となるのか…!?
ところが翌日、夏帆、美雨、麻冬は苺香から
思いもよらない衝撃的な告白を聞くことに――!

『ブレンド・S』の最終話である、第12話を観ました。

同時に、各話のレビュー記事を投稿するのも今回が最後です。

マンガのレビューも含めて、1話ごとに記事を書くのは初めてでしたが、なんとかやりきれました。

今回は、第12話の感想プラス、『ブレンド・S』のアニメ全体の感想を書きたいと思います。

ディーノと苺香が、ついに結ばれるのか!?

アバンタイトルからBパート前半までは、単行本3巻の12話と13話のエピソード。

スティーレのメンバー全員でスキー旅行に出かけるお話です。

第6話でもバーベキューと海水浴に行っていましたが、ひでりが登場してからこういうイベントは初めてですね。

また、雪が降っているという共通点に絡めて、単行本3巻2話のエピソードも挿入されていました。

夏帆が雪だるまを作ってはしゃいだり、美雨がひでりに抱きついて暖を取っていたりします。

ひでりが美雨に「僕をネタにどんな同人誌を描いてくれるんですか!?」と言っていましたが(美雨いわく「腹パン系」)、実際に今年の冬コミでひでり本を出す方が何名かいらっしゃるようです。

このスピード感、見習いたい…。

それはさておき。ディーノがスキー旅行を提案した理由は、単に遊びたいからだけではありませんでした。

この旅行中に、今度こそ苺香に告白をするつもりなのです。

昼間はゲレンデで苺香にスノーボードを教えて良い雰囲気になったあと、夜の旅館でとうとうふたりきりに。

ついに告白かと思いきや、例によって「苺香さんのことがす…スキーの才能もあるんじゃないかなぁって思っていました」と、すんでのところでヘタレが発動します。

が、さすがに最終回(?)。ここで持ち直して、「大好きデス!」と、ついにディーノが自分の想いをはっきりと苺香に伝えました。

一応、ディーノは第1話でも苺香に「好きです」と言っているのですが、そのときとは意味合いがまったく違います。

第1話の「好き」は、苺香の黒髪やツリ目といった「属性」に対するもの

苺香がどのような人であるかも知らないうちに、勢いで言っただけでした。

一方、今回の「好き」は、純粋に苺香本人に対するもの

普段はドSなんかじゃない。笑顔が可愛くて、天然で、優しくて思いやりにあふれている。

この人と付き合いたい、結婚したいと本気で思える、そんなひとりの女性に向けられたものです。

ここまで長かった…、とハッピーエンドを期待したいところでしたが、当の苺香はなんと寝ていました

昼間の疲れが、温泉に入ってリラックスしたことでどっと出てしまったようです。

まあ、原作の連載はまだ続いているので、ここで告白を成功させるわけには行かないんですけどね。

しかし、ディーノのひたむきな想いは、苺香にもちゃんと届いていました。

翌朝、夢の中でディーノに「好きです」と言われた気がするという苺香。

彼女の側からも「好きです」と返事したとのことですが、それは「スティーレで働く仲間として」という意味でした。

これは脈無しか?と嘆く夏帆と、そうでもないかもと言う麻冬。このあたりは、ふたりの人生経験の差かもしれません。

単行本4巻では、ディーノが他の女性と楽しそうに話しているのを見て苺香がヤキモチを焼くなど、ニヤニヤするエピソードがさらに増量されています。

苺香とディーノの恋路はどうなるのか。これからも、原作の方で追いかけていきたいと思います。

もうひとつの「大好きですっ!」

Bパート後半は、スティーレの営業終了後、従業員たちが店内でクリスマスパーティを開くお話。

クリスマスパーティ自体は原作にないアニメオリジナルですが、その中で語られていたスティーレのオープニング当初の話は、単行本4巻の3話に収録されています。

制作スケジュールを考えると、単行本4巻の話はアニメ化されないと思っていたので、嬉しいサプライズでした。

最初はディーノ、夏帆、秋月の3人だけで始まった、属性喫茶店・スティーレ。

そこから苺香、美雨、ひでり、オーナーと、少しずつ人(+犬)が増え、にぎやかになっていきました。

強引にアルバイトに勧誘したのは嫌じゃなかったかと尋ねるディーノに対し、苺香は首を横に振ります。

思い返せば、苺香もだいぶ成長しましたね。

第1話ではアルバイトの面接にことごとく落とされ、野良猫にすら逃げられるほど表情も怖かったのに、今では接客時にドSを演じる以外では自然に笑えるようになっています。

それもこれも、ディーノを始め、素の自分を受け入れてくれるスティーレのメンバーたちに出会えたからこそ。

そんな仲間たちを、苺香は「大好きですっ!」と言います。

第12話のサブタイトル「大好きですっ!」は、ディーノから苺香への愛の告白でもあるし、苺香からスティーレのメンバーたちへの感謝の気持ちでもあったのでしょう。

『ブレンド・S』は、苺香とディーノ、夏帆と秋月たちのラブコメ展開が目立つ作品でしたが、大勢のキャラクターが入り乱れる群像劇でもあります。

そうした作品の最終回にふさわしいサブタイトルだったと思います。

アニメ全体の感想~アニメとリアルにおけるブレンド考~

ここからは、『ブレンド・S』のアニメ全体を通しての感想。

アニメ自体は、原作の雰囲気をほぼそのまま踏襲していて、監督や脚本家の方の個性が発揮されているという感じではありませんでした。

良く言えば原作を大切にしているということですが、少し物足りない部分もあったかもしれません。

そうした中で印象的だったのは、ニコニコ生放送、コラボカフェ、「銀のシールまつり」など、アニメの外側で行われたプロモーションが非常に多かったことです。

特に、ディーノ役の前野智昭さんと秋月役の鈴木達央さんの、男性声優ふたりによる下ネタ満載のWEBラジオ「スティーレ閉店中」

初めて聴いたとき、きららアニメでこういうのもやるのか…と驚きました。

これまでのレビュー記事でも言及してきた通り、『ブレンド・S』は男性キャラが多く登場する、しかも女性キャラとのラブコメ展開になる、きらら原作のアニメとしては異色な作品です。

作品の魅力を最大限に伝えるためには、男性キャラの存在を隠すのでなく、むしろ前面に出してしまおうという方針だったのかもしれません。

結果的に秋月の人気がやたら高くなるなど、きららアニメのメイン層である男性だけでなく、女性の視聴者も獲得できたのではないでしょうか。

このアニメが「成功」したかどうかは、これから発売されるブルーレイ・DVDの売り上げで判断されるのかもしれません。

ただ、仮に売れなかったとしても(と現時点で言うのも失礼ですが)、『ブレンド・S』のアニメは制作スタッフの愛が感じられる、素晴らしい作品だったと思います。

当ブログのレビュー記事も、単に「原作が好きだから」という理由だけでは書けませんでした(1話ごとに書くのは結構きつかった…)。

ひとえに、アニメ自体も面白かったからこそ続けられたのです。

制作スタッフの方々、声優のみなさん、原作者の中山幸さんに、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

毎週、楽しく観させていただきました。ありがとうございました!