こんにちは。「まっしろライター」のましろ(@mashirog)です。
一応、細々とライターの仕事をしたり、こうしてブログを書いたりしているので、文章の書き方に関する本を見つけたら読むようにしています。身についているかは置いておいて。
今回は、こちらの本を読みました。
内容をかいつまんで説明すると…、タイトルみたいな文章を書いてはいけない、という本です(何)
形容詞だけの文章は浅い
著者の石黒圭さんは、国立国語研究所日本語教育研究領域代表・教授、一橋大学大学院言語社会研究科連携教授という、肩書だけでも分かる通り日本語研究のエキスパート。
この本以外にも、文章の書き方に関する本を多く出されていて、先日も『文章は接続詞で決まる』を読ませていただきました。
『形容詞を使わない 大人の文章表現力』の中で、石黒さんは「表現のストレートは形容詞」「レトリックは表現の変化球」だと述べています。
どれだけ速いストレートを投げても、それだけではバッターを抑えられないように、形容詞だけの文章には説得力がない。
「おもしろい」なら何故おもしろいのか、「かわいい」なら何故かわいいのかを書く必要がある、というわけですね。
本書では、つい使ってしまいがちな形容詞が章ごとにピックアップされていて、どんな言葉に言い換えられるかを考えながら読み進められる構成になっています。
- 第1章:「すごい」「おもしろい」
- 第2章:「おいしい」「痛い」
- 第3章:「かわいい」「すばらしい」
- 第4章:「多い」「さまざま」
- 第5章:「忙しい」「難しい」
- 第6章:「はかない」「せつない」
- 第7章:「嫌いだ」「まずい」
- 第8章:「くだらない」「つまらない」
- 第9章:比喩(身近なものに例える)
その中でも、特に印象に残った「おもしろい」と「かわいい」、あと第1章の中にある「やばい」について書きたいと思います。
何が「おもしろい」のかを伝えるのがレビュー
当ブログでは、定期的にマンガ、特に4コマのレビューを書いています。
そこでいつも頭を悩ませるのが、「どこがおもしろいのか」を文章で説明することです。
わざわざレビューを書くのだから、おもしろいのは当たり前で、どうしておもしろいと感じたのかを書かなければ意味がありません。
絵がきれいだからなのか、キャラクターが個性的だからなのか、ギャグが笑えたからなのか、ストーリーに惹き込まれたからなのか。
また、それらを列挙するだけでもまだ足りない。作品の一番おもしろかったところが強調されるように記事の構成を考える必要がある。
で、作品を読んだことがない人に「おもしろそうだから読んでみたい」と思ってもらう。
もう読んでいる人なら、「そうそう、そこがおもしろかったんだよ」と納得してもらったり、「そういう見方もあったのか」と新しい気付きを得てもらう。
そこまでやって、初めて「レビュー」と呼べる文章になると考えています。
…と、偉そうなことを書きましたが、なので私自身、「完璧なレビューが書けた」と思ったことはまだ一度もありません。
今回のような本を読んだり、他の方が書いたレビュー記事や書評などを読んだりして、日々勉強している最中です。
ごちうさの「かわいい」を説明できるか?
「マンガ」カテゴリーで検索していただくと分かる通り、当ブログでレビューを書いている作品は、ほとんどが「萌え4コマ」と呼ばれているものです。
特に、「まんがタイムきらら」系列の4コマ誌で連載されている作品が好きです。
きららの萌え4コマの中で一番「かわいい」作品は、ごちうさ――『ご注文はうさぎですか?』でしょう。
異論はあると思いますが、大規模なアンケートを取ればたぶんごちうさになると思います。
単行本2巻の帯なんて、「すべてが、かわいい。」だし。
キャッチコピーとしては秀逸ですが、レビュー記事ではそうもいかない。「おもしろい」と同様、どうして「かわいい」と思ったのかを書かなければいけません。
ただ、これが難しい…。誤解を恐れずに言うと、萌え4コマって全部かわいいですからね。
ごちうさもかわいいし、『きんいろモザイク』もかわいいし、最近おすすめの作品だと『どうして私が美術科に!?』もかわいい。
萌え4コマのレビューを書く以上、「かわいい」を伝えるのは、「おもしろい」を伝えるよりも難しい問題かもしれません。
あえて「やばい」と言うときもある
「おもしろい」「かわいい」と同じように、つい使ってしまいがちなのが「やばい」。
本の中では、第1章の小項目で取り上げられています。
最近は、ネガティブな意味だけでなく、ポジティブな意味でも「やばい」と言う場合がありますよね。
「おもしろい」「かわいい」よりも話し言葉に近いので、文章を書くときにはほとんど使いませんが、それでもあえて「やばい」を使うことがあります。
この記事のタイトルしかり、あとは以下のツイート。
とこみちさん(@tokomiti963149)の『アカリ様』があまりにもやばかったので、書きました。
まんがタイムきららキャラットの読切『アカリ様』、続きが気になるってレベルじゃない – まっしろライターhttps://t.co/DhFFvSgB66
— ましろ@ライター (@mashirog) 2018年1月31日
作者のとこみちさんにRTしていただいた影響かもしれませんが、このブログにしてはかなり多くの方に読んでいただけたと思います。
もしも「やばい」でなく、「きららキャラットの雰囲気に良い意味でそぐわない、底知れぬ恐怖を感じたので書きました」と細かく説明していたら(長い)、これほどは読まれなかったかもしれません。
冒頭の「レトリックは表現の変化球」という言葉に立ち返ると、変化球は確かに有効だけど、そればかり投げていたらバッターに待ち構えられて結局打たれてしまうということでしょう。
基本的には形容詞に頼らない表現を考え、ここぞというときには思い切って形容詞を使う。
今までまったく意識していなかったわけではありませんが、あらためて気を引き締める、良いきっかけになった本でした。